QOLユニット

テーマ:

防災対応を考慮したレジリエンス・コミュニティ支援QOL

ユニット長:山口  亨 教授

所属:

システムデザイン研究科 システムデザイン専攻
情報通信システム学域

H25年度研究進捗報告

 本ユニットでは、復旧・復興時において早期なコミュニティの再構築に役立つよう、普段から使える象徴的な拠点を開発し、その拠点に搭載するモジュールとして高齢者向け歩行支援ロボット(防災カートモジュール)、室内空間を有効活用する住宅設備機器のロボット化(キッチン拡張モジュール)、そしてコミュニティ支援システムの開発を実施した。

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(1)多用途な移動型拠点(Mobility Port: MOBIPO)の開発

1)コンセプト
 提案する移動拠点は、震災、復旧、そして復興において、必要とする用途に対応できるコンセプトをもつ。その機能を考える上で、図1のような震災ダイアグラムを作成し、拠点の用途について議論した。その結果、首都圏という人口に対して平地面積が小さいという特徴から「2階建て展開機能」と「可搬性」、住居や店舗に対応できる「オープンデッキ」、その拠点の内容(住居、喫茶・コンビニ、病院など)を示す「色分け」を機能付けする。

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図1.震災から復旧・復興までの移動拠点の活用について 

2)デザイン
 上述1-1)から作成したデザインが図2である。コンセプトにある「住居、喫茶・コンビニ、病院など」に対応可能なトレーラハウスをベースに、天井に2階展開可能なテント、「オープンデッキ」となる外壁、そしてサインボードを備えたデザインとした。この移動型拠点を「Mobility Port (略称MOBIPO)」と称する。

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図2.移動型拠点MOBIPOと運用イメージ
(左図:搬送と設置、右図:複数台によるコミュニティ)

3)設計(仕様)
 トレーラーハウス(移動式店舗・住居)をベースにした仕様とする。

  • 2階式とする(移動時は図3のように2階が収納されること)
  • 壁の1部分をオープンデッキへ展開する(移動時は収納されること)
  • 総重量(完成重量)は4000kg未満であること
  • 1階に生活用具1000kg程度の収納に耐えられること
  • 外形寸法:
     輸送時>本体8.0m程度×総幅2.3~2.5m×高さ3.8m未満
     2階展開・オープンデッキ展開時>本体8.0m程度×総幅4.3m以上
                          -2.5m未満×高さ5m程度
  • その他:建築基準法で定められた「換気計算(床面積の1/20以上の自然換気ができる開口部)」、「採光計算(床面積の1/7以上の開口部)」「シックハウス対策(内装材はF☆☆☆☆を使用する)」、「耐震性能(壁量計算に合致する)」を準拠する。 

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図3.設置風景(左から順に、搬入、デッキ展開、2階展開) 

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図4.設置後のMOBIPO

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1階部
照明はLED使用
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2階部
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車いす入出を考慮したスロープと
イベントなどに使用するデッキ

図5.MOBIPO内装ほか

 

(2)搭載モジュールの開発

1)防災カートモジュール(QOL支援ロボット)
 平時はシルバーカート、震災時には非常警報・ランプ点灯、そして携帯電話などへ電源供給ができるカートロボットになるよう仕様をまとめ製作した(図6)。防災カートは、3カ所の展示会で紹介(図7)し、来場者から、「携帯電話の給電ができるのは良い」、「コンパクトになるのは良い」、「災害時に複数人が見ることができるよう天板にテレビを取り付けてほしい」、「もっと大容量のバッテリが良いのでは?」と意見をいただいた。

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図6.防災カート(左図:使用時、右図:収納時)

 

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図7.展示会への出展
(左から順にイノベスタ、かぞく市、ライフ・サポートフェア)

 2)キッチン拡張モジュール
 トレーラハウスに搭載する「キッチンを拡張するモジュール」を製作(図8)。コンセプトは、以下の通り。

  • 既存の狭小キッチン空間を同じ広さのまま、調理スペースを拡張させることで、調理しやすい空間へと変化させる。
  • テーブルを常時設置できない空間を、テーブルに変形できるモジュールを用意することで、食事をとる空間へと変化させる。
  • 上記の操作を簡単に行うことができる操作性を持たせる。キッチン拡張モジュールには、モジュール下部の四隅に全方位に移動可能な受動輪として一般のオムニホイールより静粛性の高いオムニホイールを搭載している。また、搬送ロボットは新キッチン拡張モジュールの下部に設けた進入口から進入し、内部で搬送ロボットの接続機構を用いてモジュールと接続する(図9)。

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図8.キッチン拡張モジュールと変形種類
(左から順に、収納時、引き出し時、上昇時、展開時)

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図9.キッチン拡張モジュール運用時のイメージ
(左から順に、キッチン格納時、キッチン接続時、キッチン収納スペース)

 3)マッチングシステム(QOL支援システム)
 利用者に合致した地域住民情報を提供するシステム開発に、情報通信ユニットとともに仕様を検討した(図10)。このシステムを構成する「非公開サーバ」は、集会所となる「トレーラハウス」に設置する。

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図10.マッチングシステム概要図

過去記事一覧記事の一覧はコチラ

調査研究内容:

発災後の被害の最小化と復旧・復興の短期かつ円滑化が可能となるように,さりげなく防災活動を埋め込んだ日常生活を可能にすることにより,安全・安心コミュニティの創成を図る.地域住民に対して,日常的に利用できる象徴的な拠点を設置し,その存在を周知,親しんでもらい,気軽に利用してもらえるよう,サービスの提供を行うようにする.そこで,コミュニティ形成を促進する支援システムの開発と実装を行う.その際,防災対応へつながってゆく日常生活拠点を実現する.このような災害対応へつながる日常生活拠点にレジリエンス・コミュニティ支援QOLユニットを実現する.

  1. 防災コミュニティ支援システムの開発
    被災地のコミュニティの状況を蓄積した防災クラウド,地域住民の日常生活の一部となっている防災の知識と体験を習熟,福祉と教育,そして関与する人々を繋げる支援システムを有する拠点(トレーラハウス)を開発する.このトレーラハウスは,日常時から運用し,災害,復興そして復旧でそれぞれ有用な支援サービスを提供する.
  2. 防災コミュニティ支援システムのサイト実験と評価
    開発する支援システムを協力地域に設置し,そのニーズと効果を調査し評価する.
  3. コミュニティ形成のモデル化と支援システムへの実装
    コミュニティを形成していくモデルを作成し,他地域でのコミュニティ形成に役立てる.そして,開発する支援システムへ実装する.

メンバー:

    山口  亨 教授
    RTグループ)

    • 和田 一義  准教授
    • 下川原 英理 助教
    デザイングループ)

    • 山下 敏男 教授
    • 藤原 敬介 准教授
    • 金  石振 准教授
    • 土屋  真 助教

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