プロジェクトの紹介

【プロジェクト紹介】

総合防災対策研究 研究体制

このプロジェクトでは、社会科学の観点から行う調査研究と、機器やシステム開発等の科学技術的な観点から行う開発研究を一体的に行います。社会的弱者の保護や環境衛生、情報通信、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)などの8つの研究ユニットを設け、実用性・実効性の高いアウトプットの創出を目指します。

社会科学系の研究体制

研究ユニット

研究内容

まちづくりとガバナンス
ユニット

ユニット長:
人文科学研究科 社会学教室
山下 祐介 准教授20130310dd0phj000001000p_size5
メンバー:
饗庭  伸 准教授
山本 薫子 准教授
奥  真美  教授
白石  賢  教授

首都直下型大地震発生・復興時のガバナンスについての災害前設計の検討
-東日本大震災・福島第一原発事故の課題をふまえて-

  1. 東日本大震災・福島第一原発事故(直後・復興)におけるガバナンスに関わる実情と課題整理
  2. ・国・政府、研究者・専門家、都道府県・市区町村の各自治体レベル、集落・町内・コミュニティレベルへの系統的なヒアリングの実施(被災自治体のみならず、首都圏内の各自治体の対応、被災地支援態勢、広域避難者の受け入れなどを含む)。
    ・首都大学東京に所属する研究者の災害後の動きについての系統的なヒアリングの実施

  3. 東京都および都内自治体の次期震災時における直後・復興ガバナンス問題点の検証
  4. ・上記1.をふまえた上での、東京都、および八王子市、練馬区などでの担当者との情報交換、ディスカッションの実施。首都大学東京の内部での担当者との情報交換、ディスカッションの実施。首都圏直下地震の際に生じる社会的問題の特異性の洗い直し。
    [上記1、2に関する具体的な調査方法] 都庁と市部と区部の3ユニットに分類し、有事の際のそれぞれのユニットにおけるニーズ調査を実施する。また、首都大内外の専門家、住民組織などとの連携づくりのための調査を行う(同時に、この調査そのものを通じてネットワーク形成の基盤を築く)。

 

(目標)
次期震災の復興時におけるガバナンスの問題点とニーズ調査、コミュニティをベースとしたネットワーク基盤形成の調査報告

 

地域防災のあり方
ユニット

ユニット長:
都市環境科学研究科
都市システム科学域
市古 太郎 准教授ProfICHIKO
メンバー:
讃岐 亮 特任助教

郊外都市における自然災害レジリエンシー力の向上手法の開発

  1. 郊外都市における事前復興プランニング技術の構築(八王子市との連携)
  2. 東京都は2000年代に入って、大地震前から復興に備える「事前復興対策」を展開している。現在、大火被害が想定される区部での取り組みが先行し、市部での取り組みはこれからという段階にある。その中でも八王子市では、H18年から「地域協働復興訓練」を実施してきた。これまでの取り組みをふまえ、八王子市を対象に郊外都市における事前復興プランニング技術を構築する。すでにH24年度に市役所と首都大で作業部会を設置し、復興対応条件についての検討を進めている。

  3. 多様な主体による地域防災力UP手法の構築
  4. 大災害後、ご近所同士の支え合い、町会・自治会を中心とした地域組織による直後対応がなされる。わが国では「自主防災組織」の結成と活動が展開されてきたが、その「質」すなわち事前準備の方法論については、検討の余地が多々ある。本研究では、自然特性および地域社会特性でさまざまな面をもつ町田市を主な対象に、多様な主体による地域防災力UP手法を構築する。すでに当研究チームではH20年から町田市の防災リーダー講習会の企画提案と運営支援に従事してきたが、今回は具体のモデル地区を設定し、地域の資源に立脚した「地域防災力」向上のための方法論を開発する。

 

(目標)

  1. 郊外自治体における防災や避難に関するアーカイブ・映像制作
  2. 防災・復興にむけた地域対策の提案

 

社会的弱者保護のあり方
ユニット

ユニット長:
人間健康科学研究科
理学療法科学域
新田  収  教授ProfNITTA
メンバー:
橋本 美芽 准教授

高齢者・障がい児者等、災害弱者が被災後、安全な避難から現状回復に至る各経過フェイズにおいて必要な援助の在り方に関する研究

最も災害弱者であり震災後は困窮者である障がい児者を代表例として、災害時および災害後におきた出来事を経時的に追跡することで、時系列で起こる問題点を整理する。また、都市部における代表的災害弱者高齢者が現状において想定する震災発生後の問題及び求める支援を把握し実際との差異を明らかにする。

  1. 東日本大震災により被災した障害児を代表例とした聞き取り調査
  2. 本研究では震災以前から障害児者を支えてきた、「障害者総合支援本部」等の協力を得て、福島県、宮城県を中心に障害児者の現状を調査する。調査は災害時および災害後に障害児者とその家族におきた出来事を経時的に追跡することで、時系列で送る問題点を整理する。このことで震災後の各相で障害児者に何が必要とされるのかを明らかとする。同時に解決手段として障害者福祉施設の役割について提言をまとめる。

  3. 荒川区在住高齢者を対象としたニーズ調査
  4. 荒川区は高齢者率が高く、また老朽化した家屋が多いこと、避難経路に狭く入り組んだ路地が多いことなど、被災時危険度が高い地域である。当地域をサンプルとし、高齢者に対し被災後どのような支援が必要と予想されるかについて、聞き取り調査を行う。健康福祉学部は荒川区に立地し、地域との深い信頼関係が構築されており、調査の準備は整えられている。

 

(目標)
震災時の高齢者・障害児等災害弱者の避難から現状回復までの道筋と必要事態の提案

 

科学技術系の研究体制

研究ユニット

研究内容

エネルギーユニット

ユニット長:
理工学研究科 電気電子工学専攻
清水 敏久  教授ProfSHIMIZU
メンバー:
安田 恵一郎 教授

レジリエントエネルギーシステムにおけるパワエレと情報装置の在り方に関する研究

  1. 電気防災装置AEHD(Aided Electrical Hazard Defend)に関する研究
  2. 大震災発生時に伴う広域災害においては、電気設備普及のための専門技術者を被災地全域にわたって出動することは難しい。そこで、AEHDの開発と普及により、電気災害防止の効果を上げるために、限定的ではあるが身の回りの電気製品の診断や屋内配線状態の判断と初歩的電気作業ができる様に市民の活動力を高め、自助・共助・公助を行える環境を作る。

  3. 移動用分散型電源の調査と活用に関する調査研究
  4. 災害発生後に本格的なライフライン復旧までの被災者が一番困難な状態の期間に役立つ。そこで、移動型分散型電源について調査と活用法について調査研究する。調査対象の一つに地図情報と移動用分散型電源の情報を加え、ニーズとシーズの即応的な検索と運用を出来るシステム開発を検討する。
    上記調査結果をもとに、災害発生時と復旧復興に役立つ移動用分散型電源の開発に関する調査研究する。この場合、電気供給、熱電併給、の両方について可能性を調査する。電気供給については太陽光パネルの使用、熱電併給については燃料電池の使用を含めて調査する。

  5. スマートグリッド・スマートコミュニティ・レジリエントエネルギーシステムに関する調査研究
  6. スマートグリッド・スマートコミュニティの概念・モデル・解析手法・最適化手法、および国内を中心とした実証実験等の現状・課題等を調査して取りまとめる。
    レジリエントエネルギーシステムの概念・モデル・解析手法・最適化手法等の調査を行い、スマートなエネルギーシステムとの関連を踏まえつつ、レジリエントエネルギーシステムに関する研究動向の現状・課題等を取りまとめる。

 

(目標)
災害時における分散型エネルギーシステムの検討

 

環境衛生ユニット

ユニット長:
都市環境科学研究科
都市基盤環境学域
荒井 康裕 准教授ProfARAI
メンバー:
上野  敦 准教授
石倉 智樹 准教授

震災後の「都市機能の早期回復」を目的にした緊急対応に関する提言

本研究では、3.11の「津波」と「放射能汚染」に対し、首都直下型震災では「コンクリート構造物由来の震災廃棄物」と「木造住宅密集地域の大規模火災」が中心的な対応課題になると想定し、都市機能をできるだけ速やかに回復するために優先すべき緊急対応について、衛生工学(Sanitary Engineering)の観点から「廃棄物処理」と「水道」の2つを取り上げる。→東京都「環境局/水道局」との連携強化を視野に入れたテーマ設定。
*…「『2020年の東京』実行プログラム2012」の【目標1(施策2)】に関連する内容。

  1. コンクリート系の震災廃棄物に対する静脈物流と再生利用に関する研究
  2. 迅速な復旧に欠かせないのが「がれき処理」である。都内の建造物の集積度の高さを考えると、発生する震災廃棄物量は膨大であり、がれきを一時保管する場所となる公園・駐車場等の「仮置き場」は十分に確保できるのか、撤去後の処理の在り方は如何にすべきか等、事前に検討しておくべき課題は多い。 本研究では、震災廃棄物の内「コンクリートがら」に焦点を当て、その静脈物流と再生利用に関する調査研究を試みる。【Phase-1】オンサイトで、かつ手軽な対応方法(発災直後から開始し、本格的な処理が稼働するまでの数週間/数か月の範囲)として、「1次保管場所における分別・破砕後、がれきを材料にした道路舗装用ブロックへの暫定活用」や、【Phase-2】既存の産廃処理ルートを活用する本格的な資源循環方法(発災後、2~3か月経過時点から3年以内)として、「1次仮置場から再資源化施設に運搬し、リサイクルセメントを製造している既存の産廃処理施設での本格リサイクル(セメント原材料化)」等、発災直後からがれき処理の完了までの時間的フェイズに沿って「要素技術」と「それらをどのように活用するか」の「ハードとソフト(土木材料工学とシステム計画学)」の両面から検討する。なお、「一廃/産廃」の廃掃法上の取り扱い、広域輸送の事前協定等の問題については、社会科学系ユニットと共有化して取り組むことも考えられる。

  3. 大規模火災に対する備え/水道分野の果たす役割
  4. 都では「木密地域不燃化10年プロジェクト」として、震災時に特に甚大な被害が想定される木造住宅が密集する地域(木密)約7000haを10年間で「燃え広がらない・燃えないまち」にする。具体的には、市街地の不燃化(不燃化特区)や、火災の燃え広がりを防ぐ道路の整備(特定整備路線、28区間/延長約26km)などに取り組む。 また、東京都水道局と東京消防庁は2012年6月7日、迅速な初期消火活動の充実を図るため、特別区内の排水栓を初期消火活動に活用することを目的とした「上水道における排水栓の取扱い等に関する覚書」を既に締結している。これにより、木密に多くあり、消防車両が進入することができない狭隘道路でも、排水栓を消火用水源として使用することができるようになり、地域防災力が強化されることになった。 東京都が発表する被害想定では、「火災」の発生についても取り上げられている。こうした試算結果を水道分野における震災対策研究に活用すると、例えば、応急給水槽(http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/customer/life/s_kyoten.html)は、人々が「飲料水」として活用することを前提に整備が進められているが、火事が起きた時は「消防活動」の目的にもこれらの給水槽から水を使うことになる(http://www.city.kobe.lg.jp/ safety/prevention/water/11.html)。首都直下型の大きな地震では、1軒2軒の火事では済まず、かなりの広範囲に及ぶ火災被害も十分に想定される。木造住宅が密集する場所では火災のリスクが高いが、それらのエリアには、応急給水槽が十分にあるのか。消火活動に要するどれくらいの水量が必要なのか。災害発生後3日間の飲料水が確保されている応急給水槽の貯水量は、消火活動にどれくらい消費されるのか。
    本研究では、「飲料水」として期待されていた水量が「消火活動」に用いられる可能性等、「大規模な火災」の発生に伴って水道分野(配水池、応急給水槽)が受ける影響の有無や大きさについて検討して行きたい。具体的な研究活動として、まず、水道局の震災対策の全般(例えば、「水道管路の耐震継手化緊急10ヵ年事業」等)についてヒアリングを行いながら、実際の消防活動における水道局と消防機関/防災市民組織との取り決め等についても調査する。その上で、火災発生リスクが高い地区とそうでない地区、備蓄水量が十分な地区と不十分な地区、双方のミスマッチが生じる地区等について分析を進める。

 

(目標)

  1. 災害時における水道分野の受ける影響の分析と検討
  2. 震災廃棄物の処理と再利用に関するシステムの構築 

 

QOLユニット

ユニット長:
システムデザイン研究科 
情報通信システム学域
山口  亨  教授IF
メンバー:
・RTグループ
和田 一義 准教授
下川原 英理 助教
・デザイングループ
山下 敏男  教授
藤原 敬介 准教授
金  石振 准教授
土屋  真  助教

防災対応を考慮したレジリエンス・コミュニティ支援QOL

発災後の被害の最小化と復旧・復興の短期かつ円滑化が可能となるように、さりげなく防災活動を埋め込んだ日常生活を可能にすることにより、安全・安心コミュニティの創成を図る。地域住民に対して、日常的に利用できる象徴的な拠点を設置し、その存在を周知、親しんでもらい、気軽に利用してもらえるよう、サービスの提供を行うようにする。そこで、コミュニティ形成を促進する支援システムの開発と実装を行う。その際、防災対応へつながってゆく日常生活拠点を実現する。このような災害対応へつながる日常生活拠点にレジリエンス・コミュニティ支援QOLユニットを実現する。

  1. 防災クラウドと地域住民の支援拠点の開発
  2. 被災地のコミュニティの状況を蓄積した防災クラウド、地域住民の日常生活の一部となっている防災の知識と体験を習熟、福祉と教育、そして関与する人々を繋げる支援システムを有する拠点(トレーラハウス)を開発する。このトレーラハウスは、日常時から運用し、災害、復興そして復旧でそれぞれ有用な支援サービスを提供する。

  3. 防災コミュニティ支援システムのニーズ調査と評価
  4. 開発する支援システムを協力地域に設置し、そのニーズと効果を調査し評価する。

  5. コミュニティ形成のモデル化と支援システムへの実装
  6. コミュニティを形成していくモデルを作成し、他地域でのコミュニティ形成に役立てる。そして、開発する支援システムへ実装する。

 

(目標)

  1. ニーズに沿った防災コミュニティの提案とクラウドの構築
  2. 災害時を問わず人々に受け入れられるデザインの提案 

 

情報通信ユニット

ユニット長:
システムデザイン研究科
ヒューマンメカトロシステム学域
久保田 直行 教授ProfKUBOTA
メンバー:
高間 康史 教授

WANが使えない状況下で、無線LAN(WiFiなど)、無線PAN(Bluetoothなど)を用いた情報収集・参照・支援システムの構築

大規模災害が発生した場合、迅速な情報収集、精度の高い情報分析、効率の良い情報発信などが要求される。また、ソーシャルネットワーキングサービスが活用されるようになり、より多くの情報をコミュニティ内で容易に共有することができるようになった。このような背景のもと、情報通信ユニットでは、大都市における大規模災害時を想定した情報システムの構造や情報支援のあり方について検討するとともに、他のユニットが必要とする情報通信技術に関する研究開発を行うことを目的とする。具体的には、主に(1)通信手段に関する研究、(2)データベースに関する研究、(3)他のユニットの応用事例に関する研究開発を行う。

  1. 情報の新規性や重要性を考慮した効率の良い情報送受信に関する研究
  2. 大規模災害発生時には、基地局の損壊やアクセス集中のため、携帯電話が使えない可能性が高くなる。そのような状況下で、無線LAN(WiFiなど)や無線PAN(Bluetoothなど)を用いたすれ違い通信による、局所的な情報収集や情報発信に関する研究を行う。また、情報の新規性や重要性などを考慮した効率の良い情報の送受信に関する研究を行う。

  3. 地域情報データベースに関する研究
  4. すれ違い通信などにより収集された地域情報を用いた災害状況マップや被災者集計システムなどを例に災害情報用データベースの仕様に関する検討を行うとともに、LOD (Linked Open Data)に基づく公開データの活用方法や、収集したデータの再利用可能な形式での公開方法に関する研究を行う。

  5. 他のユニットの応用事例に関する研究開発
  6. 「QOLユニット」や「社会的弱者保護のあり方ユニット」などと連携し、すれ違い通信による平常時・災害時における地域ローカルネットワークに関する研究開発、防災コミュニティ形成やビッグデータ活用クラウドシステムに関する研究を行う。また、「環境衛生ユニット」と連携し、災害廃棄物の収集運搬などに関する「がれき処理」を支援するためのシステム開発を行う。

 

(目標)
自律分散的災害時情報支援システムの開発

 

住空間ユニット

ユニット長:
都市環境科学研究科 建築学域
一ノ瀬 雅之 准教授ichinose01
メンバー:
須永 修通 教授
角田  誠 教授

災害時を考慮した自立型建築・都市の研究
– 災害時にも生存可能な集合住宅へ –

防災対策では、災害緊急時とともに本総合研究が対象としている復旧期・復興期への対策が重要であるが、実は「避難者を出さない」ことが最も効果的な対策である。一方、地球環境問題からエネルギー自立型建築・都市への早急な移行が求められているが、創エネルギーシステムを持つ自立型建築は災害時にも自立できる可能性が高く、防災の観点からもその早期普及が求められる。自立型建築・都市では、太陽光発電、雨水利用、太陽熱利用などの自然エネルギー利用とともに「徹底した省エネルギー」が不可欠であり、それ故、自立型建築では建築の環境性能も高く、エネルギーが途絶えた状態でも人間が生存できる環境を維持できる。
そこで、本研究では、多くの避難者を出さないという観点から、ニュータウン(以下「NT」と記す)の代表である多摩NTの既存集合住宅を対象に、現状の環境的な建物性能の把握と省エネルギー改修手法・効果について検討する。この研究では、多摩NTの全集合住宅を改修した場合の省エネ効果というマクロ的な視点と、省エネ改修した住棟・住戸の省エネ効果および室内環境改善効果というミクロ的な視点の両面から検討を行う。

  1. 自立型建築における自然エネルギーの使用と徹底した省エネルギーの検討
  2. 現状の環境的な建物性能に関する調査
  3. 省エネルギー改修手法・効果についての研究

 

(目標)
多摩ニュータウンにおける自立型住宅の省エネ効果の試算とこれからの活用についての提案